労働基準法と労働者災害補償保険法

労働基準法とは?

労働基準法は、社会人経験のある方にとっては、受験科目のなかでも一番身近な法律ではないでしょうか?
会社に就職する時には、誰でも

「お給料はいくらか?」
「出勤、退社の時間は何時から何時まで?」
「時間外労働はどのくらい?」

など、労働条件を確認して、使用者と労働契約を結びますね。
このときに、労使間では弱者にならざるをえない労働者が、不利な労働契約を使用者側から押しつけられることのないように、労働基準法で「労働条件の最低限の基準」が定められています。労働者を保護するために、この基準を守らない使用者には罰則を適用するという、取締法規としての性格も持っています。

労働基準法の歴史は古く、終戦直後の昭和22年に施行。
戦後のわが国を復興させていくというステップにおいて、産業がどんどん発達していく中で、労働条件がなおざりにされていた時代がありました。
本来なら働かせるべきではない子供を坑内労働させたり、女工を不衛生な工場で昼夜問わず働かせ続けたり、ということが起こっていたのです。昔はこのように労働者が非常に虐げられていたため、彼らをなんとかフォローする必要がありました。
そこで、「産業構造を改革することとあわせて、労働条件を整備していくことが、スムーズに社会復興、経済復興をしていくことが必要不可欠である」という考え方のもとに、労働基準法が定められたのです。

その後も大きな改正が数回行われ、労働条件や環境の整備がすすめられてきました。
今では公務員などの一部をのぞき、日本国内のすべての労働者に労働基準法適用されています。

 

労働者災害補償保険法とは?

労働者災害補償保険法(以下、労災保険)とは、労働者を守るために会社が加入する保険のこと。原則として労働者を一人でも使用している事業であれば、事業主や労働者の意思にかかわらず、法律上当然に労災保険の適用を受けます。

仕事中にけがや病気をしてしまった場合、会社側が負担すべき最低限の補償の内容は、労働基準法によって規定されています。ですが、長期にわたって補償が必要となる場合や、使用者の補償能力が低い場合などは、労働者に十分な補償が行われない危険性がありますし、事業主の「責任逃れ」が起った場合、被災労働者が不利益を被る可能性もあります。
そこで、被災労働者を迅速かつ公正に保護するために制定されたのが労災保険法です。
事業主から保険料を徴収する代わりに、事業主が行うべき災害補償を肩代わりし、国が直接保険給付を行う仕組みになっています。

労災保険が制定された当初は、労働基準法上の災害補償と同一の内容・水準を補償するのみでしたが、通勤災害保護制度の設立や、適用事業の拡大、給付水準の引上げなどにより、他の社会保険の内容よも手厚い保護がされるようになりました。

保険給付のほかにも、付帯事業である「社会復帰促進等事業」により被災労働者や遺族の援護を行ったり、働き過ぎによる脳血管疾患・心臓疾患を防ぐための二次健康診断等給付などが創設されるなど、制度の拡充が図られています。

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