社労士試験の難易度はどのくらい?

受験をするかどうかを決めるにあたって、気になるのが試験の難易度。
社労士試験は、原則的には大卒・短大・専門学校卒以上でないと受験できませんので、受験者全体の基礎学力は一定水準以上です。そして合格率は、毎年数パーセント程度。
社労士試験の難易度は、やや高めだといえます。
社労士試験の難易度を押し上げている理由として、以下の二つのことが考えられます。

1.試験範囲が膨大

広範囲にわたる試験科目の隅々の知識まで問われるので、生半可な勉強量では太刀打ちできません。法改正も頻繁に行われるので直前対策も必須です。また、社労士試験は「忘却との闘い」とも言われています。毎日毎日「覚えては忘れて」を嫌になるほど繰り返し、飽きずに勉強し続ける熱意が必要です。効率的な勉強方法が必要なのは言うに及ばず。

2.受験生泣かせの「足切りライン」がある

社労士試験は、各科目ごとに合格基準点、いわゆる「足切りライン」が設定されています。
総合得点では合格レベルに達している実力者でさえも、基準点に満たない科目が一つでもあれば、容赦なく切り捨てられるのが、社労士試験の恐ろしさです。
この足切りラインにひっかかり、あと一歩が及ばず涙を飲む受験生が毎年大勢います。

以上のことが、社労士試験の難易度をあげている原因だと思われます。
2.に関しては、極端に受験生の平均点が低い場合は、救済と呼ばれる合格基準点の引き下げが行われる場合があります。
ただし、受験生のほとんどが初見という問題が出され、平均点が低いのに救済が行われなかった年もあります。
これが、「社労士試験は、実力はもちろん、運も不可欠」とも言われる所以です。ですが、出題者も、社労士試験の難易度をあげるために、そんな問題を出しているのではありません。
「例え分からない問題であっても、自分の頭で考え、正しい答えを導き出す力」が、本試験の最中に求められてると考えるべきでしょう。

ですから、単なる暗記にとどまらない、制度の目的や立法趣旨などの理解を深める学習が、合格への近道なのです。

 

合格率・合格基準点について

社労士試験受験者数は毎年60,000人前後で、数ある国家試験の中でもトップクラス。各種の資格ランキングでも常に上位にランクインするほど人気のある資格です。
では合格率はどうでしょうか?社会保険労務士センターが発表している、過去10年間の合格者の推移を見てみましょう。
http://www.sharosi-siken.or.jp/43suii.pdf

合格率は平均して7-9%のあたりですね。ですが、
「こんなに合格率が低いなんて…私には無理そう」
と悲観することはありません。
リンク先の、合格者の職業割合のグラフに着目してみてください。
「会社員」が51.2%、「公務員」が7.9%と、就業者が全体の6割近くを占めています。
つまり、社会保険労務士は、働きながらでも十分に合格できる試験だということです。

また、勉強時間は足りていないけれど、一応試験だけは受けてみようという「記念受験」「お試し受験」と呼ばれる層も毎年一定数存在しているので、実際に本気で勉強してきた人たちの中での合格率はもっと高いと考えられます。

 

合格基準点

社労士試験は、相対的な評価方式に基づき採点しているため、毎年合格ラインである合格基準点が変動します。極端に受験生の出来の悪い科目があれば、基準点引き下げ(いわゆる「救済」)の対象となることもあります。合格の目安としては、全体で7割以上の正答率と、基準点割れしている科目がないことです。
参考に過去5年間の合格基準点について詳細を載せておきます。

●平成23年度(第43回)
選択式:総得点23点以上かつ各科目3点以上
(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法及び国民年金法は2点以上)
択一式 :総得点46点以上かつ各科目4点以上

●平成22年度(第42回)
選択式:総得点23点以上かつ各科目3点以上
(ただし、健康保険法、厚生年金保険法、社会保険に関する一般常識は2点以上、国民年金法は1点以上)
択一式 総得点48点以上かつ各科目4点以上

●平成21年度(第41回)
選択式:総得点25点以上かつ各科目3点以上
(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法は2点以上)
択一式:総得点44点以上かつ各科目4点以上

●平成20年度(第40回)
選択:総得点25点以上かつ各科目3点以上
(ただし、健康保険法は1点以上、厚生年金保険法および国民年金法は2点以上)
択一式:総得点48点以上かつ各科目4点以上

●平成19年度(第39回)
選択式:総得点28点以上かつ各科目3点以上
択一式:総得点44点以上かつ各科目4点以上

●平成18年度(第38回)
選択式:総得点22点以上かつ各科目3点以上
(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法は2点以上)
択一式:総得点44点以上かつ各科目4点以上

 

学習のトータル時間について

「社労士合格」というゴールに辿りつくためには、一体どれくらいの学習時間が必要となるでしょうか? 2つの資格スクールの講義時間を参考に、学習時間の総枠を計算してみましょう。もちろん、受験者それぞれの有している知識や経験、勉強する環境などによって、個人差がありますので、あくまで参考程度にご覧ください。
これは、ある資格スクールのデータです。

<A社>
インプット講座:61回
アウトプット講座:17回
<B社>
インプット講座:59回
アウトプット講座:14回

1回の講座は3時間程度なので、講義を全部聴くだけで、概ね200時間を費やします。

<A社>234時間
<B社>219時間

もちろん、講義を聴くだけではなかなか知識が身につかないでしょうから、大抵、講義時間の2~3倍の時間を自習にあてることになります。

<A社>702~936時間
<B社>657~876時間

つまり、予備校に通った場合でもおよそ800時間程度の学習時間を要する試験であることがわかります。独学で学習のポイントがなかなか掴めなかったり、毎日勉強する時間が取れなかったりすると、この時間はさらに伸びます。

800時間というと、一日2時間を勉強にあてたとしても、一年以上かかってしまいますね。

「一日2時間も勉強時間をとれない…」

という方は、通勤時間にテキストを読むなど細切れ時間を上手に活用したり、土日にまとまった学習時間を確保するなどの工夫が必要でしょう。
働きながら見事合格された方の中には、「忙しいからこそ、短い時間でも集中でき、学習時間を有効に使えた」という方が大勢います。

時間のやりくりは大変ですが、万が一不合格になってしまった場合、800時間どころか、数年単位の時間を受験勉強に費やすことになってしまいます。その間の負担と機会損失は計りしれません。ゴールまで最短距離で辿り着くために、必要な学習時間をしっかり把握し、自分にあった学習計画をたててくださいね。

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