健康保険法と労働・社会保険に関する一般常識

健康保険法とは?

わが国の医療保険制度は、国民皆保険の実現や高水準の医療技術などのおかげで、世界レベルでみても非常に充実した制度だと言われています。その医療保険制度の中核をなすのが健康保険法。「国民の生活の安定と福祉の向上」に寄与することを目的に、大正11年に制定された 社会保険のなかで最も古い法律です。

健康保険法は、民間企業の会社員など被用者とその被扶養者を対象とした医療保険制度です。けがや病気をした時に、病院等の窓口で保険証を提出すると、医療費の自己負担割合が3割になるということは誰もがご存知ですね。
それ以外にも、ケガや病気で長期的に働けなくなってしまった時に、傷病手当金を支給して所得保障を行ってくれる制度も実施されていて、万が一の時には非常に頼りになります。

施行当初は業務上の事由による保険事故も給付の対象にしていましたが、昭和22年に労働保険法が制定されたことにより、業務上の事由による給付は廃止されました。
現在、健康保険法からは、業務外の負傷、疾病、死亡、若しくは出産の4事故を対象に保険給付を行っています。

また健康保険では、保険給付の他に、生活習慣病の予防対策を行う「保健事業」や、治療費を貸しつける「福祉事業」を付帯事業として実施しています。これにより、被保険者や被扶養者の健康を、医療行為や予防行為、資金面と総合的にサポートしているのです。

 

労務管理そのほかの労働に関する一般常識とは?

「労務管理その他の労働に関する一般常識(以下、労働一般)」とは、一体何を指しているのでしょうか? 実は、その具体的な内容と範囲については、試験センターが明確に示しているわけではありません。
過去出題されたものを大きく分けると、「労働関係諸法令」、「労務管理」、「労働経済」の3つの分野。これらは、実際に実務に携わるようになったときに、社労士なら当然知っておくべきことです。つまり労働一般は、社労士としての常識を身につけるための科目なのです。

たとえば、人事労務のプロとみなされる社労士が、現実の雇用・失業問題や、労働経済に疎かったり、労務管理の基礎知識がまったくないようでは、専門家としての信頼に欠けますね。
主要科目となっている法令だけでなく、育児・介護休業法や、パートタイム労働法、男女雇用均等法などの労働関係諸法令まで広く知っておくことは、経営者にアドバイスする上でも重要なことです。
また、ただ法令を知っているだけでは、社労士としては半人前。従業員をどう評価するのか、会社の管理体制はどうすればいいのか、といった労務管理についても学習する必要がありますし、日本の社会情勢を知るために労働経済について学ぶ必要もあります。

労働一般は、他の試験科目に比べ、非常に範囲が広く捉えどころのないイメージがありますが、これらは「社労士として円滑に業務を行う上での常識」という視点を忘れずに学習してください。

 

社会保険に関する一般常識とは?

「社会保険に関する一般常識科目(以下、社会一般常識)は、労働一般と同じく、その具体的な内容と範囲については、試験センターが明確に示しているわけではありません。
この科目は、社労士として円滑に業務を行うために必要な知識を幅広く習得することを目的としています。

過去の問題を大きく分けると「社会保険諸法令」、「社会保険の沿革」、「医療、年金制度の動向」などの3つの分野から出題されています。
特に試験対策としても重要なのが社会保険の諸法令。
国民皆保険を実現されるために改正された「国民健康保険」や、高齢者が自立した日常生活を営むための医療や福祉サービスを行う「介護保険法」、老人保健制度の代わりに創設された「高齢者医療確保法」、そして「社会保険労務士法」などが出題範囲となります。
厚生年金等の上乗せ給付を行う、企業年金制度も対象。年金制度について意見を求められた際には、主要の年金2法はもちろん、企業年金制度まで知っていることで、より適切なアドバイスを行うことが可能となります。

学習する上では、社会一般常識と他の科目を横断的に比較し、各制度のつながりを意識しましょう。すでに学習済みの健康保険や国民年金や厚生年金の沿革や制度の目的などについても、一通り確認しておくのが望ましいでしょう。
また、ニュース等を通して、医療保険や年金制度の動向や、世間の関心がどこにあるのかということに、常日頃から注意を払うことが必要です。

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