国民年金法と厚生年金保険法

国民年金法とは?

公的年金制度が誕生する前は、高齢者は子どもによる私的な扶養や老後のための貯蓄等によって老後生活を送っていました。 ですが、貯蓄については、誰も自分の寿命は予想できませんし、必要十分な貯蓄額を事前に知ることはできません。しかも、若いころから、老齢期に到るまでには何十年という長い時間があり、予想を超えるインフレによる貯蓄の目減りなどが生じる可能性もあります。
社会構造の変化や経済情勢の悪化により、子供による私的な扶養に頼ることも難しくなってきました。そこで、これまで1人1人が私的に行っていた老親の扶養・仕送りを、社会全体で行う仕組み「公的年金制度」が作られました。その公的年制度の土台となるのが国民年金です。

昭和36年に、被用者年金制度の後を追って誕生した国民年金により、すべての国民がいずれかの公的年金の対象となる「国民皆年金」の体制が確立されました。
その後昭和61年に大改正が行われ、国民年金をすべての公的年金制度の土台とし、全国民に共通の「基礎年金」を支給することとなりました。現在では、厚生年金の被保険者や、共済組合の組合員、専業主婦、無業者など、原則として20歳以上60歳未満で日本国内に居住する者ものはすべて、国民年金の被保険者となっています。

一般的には「老齢期の年金給付」のイメージが強いと思いますが、病気やケガで障害を負ったときや、子のいる妻が夫を亡くした時などにも給付を行っています。また、20歳前に重度障害を負った場合など、被保険者でない者にも所得保障の年金の支給するなど、福祉的な側面も持ち合わせています。

 

厚生年金保険法とは?

厚生年金保険法は、土台となる国民年金の基礎年金に上乗せして給付を行う公的年制度で、いわゆる2階建て年金と呼ばれています。民間企業のサラリーマンなど被保険者を対象に、老齢・障害・死亡などの保険事故に際し、報酬に比例した年金給付を行うのが特徴です。厚生年金の上にさらに上乗せして給付を行う、3階部分の厚生年金基金についても規定されています。

厚生年金保険法の歴史は国民年金法よりも古く、戦前の昭和17年に厚生年金の前身である「労働者年金保険法」がスタートしました。当時はブルーカラーの労働者を対象とするなど適用範囲が限られ、事務職の方や女性などは排除されていました。
その後、昭和19年の改正により「厚生年金保険法」と名前を改め、適用除外とされていた女性や一般男子職員にも適用を拡大。民間の被用者の大半が加入する保険となりました。

昭和29年には、定額部分と報酬比例部分の2階建ての年金制度を実施。厚生年金はこのように非常に古い時代から2階建て年金の仕組みを確立していたのです。土台部分が基礎年金となった今も、その制度が経過的に残っています。
その後多くの改正を経て、昭和61年4月からは国民年金の上乗せ年金として、二階部分のみが支給される仕組みとなりました。

近年においても、急激な少子高齢化の進展など、社会経済情勢の変化に対応し、将来にわたって安定した制度とすべく様々な改正が行われています。

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