健康保険法は、以前は一つのテーマで一問を構成することが多かったのですが、近年は肢ごとに各テーマから寄せあつめた問題が多くなっています。ですから、どこかにヤマを張るのは非常に危険です。まずはインプットや過去問を通して重要事項を押さえ、ある程度知識がついたら通達にも一通り目を通しておきましょう。
通達から難易度の高い問題が出題されることもあります。ですが、基本事項を疎かにして、通達ばかり学習しても非効率です。まずは重要テーマである基本事項を押さえた上で、徐々に範囲を広げ、過去出題傾向のある通達に目を通しておきましょう。
択一式対策としては、まず、本書掲載の過去問をもとに出題実績のある条文を確認し、徐々にその周辺の規定にまで広げていくとよいでしょう。なお、参考程度に掲載してある出題実績のない省令や通達などの規定についても一読することをオススメします。また、社会保険各法との共通規定や類似規定を、横断整理しておくと効果的です。 毎年、一部難解な問題があるものの、合格ラインの得点は容易に可能です。健康保険法の最終目標点数は、7~8点といったところでしょう。
健康保険法の近年の出題は、保険給付以外からの出題が目立ちます。また、1点救済が過去に2回(36回、40回)も行われているように出題レベルが安定していません。学習範囲を限定することなく、まんべんなく得点できるようにしておくと良いでしょう。 過去の選択式問題では、高額療養費の計算など「知らないと解けない」問題や、正答が見極めにくい、数字や類似用語ばかりが抜かれた問題が出題されたこともありました。 そういう問題に当たってもなんとか基準点を超えられるように、日頃から丁寧な学習を心がけて下さい。
「労務管理その他の労働に関する一般常識(以下労働一般)」は、学習すべき内容が広範囲な上に、出題数が少ないため的が絞りにくく、非常に学習しにくい科目です。20以上の法律、労務管理と労働経済、厚生労働白書から、労働問題に関する設問が出題されます。出題年度において難易度にバラつきがありますが、法令科目からの出題は択一で2点分くらいなので、時間をかけて学習しても点数に結びつくとは限りません。無駄に時間を費やさないように注意しましょう。
出題傾向として、統計(労働経済)問題が大半を占めています。具体的な数値も問われるため、直前期に白書対策講座を受講し、統計の数値と自分の思い込みのずれを修正していくとよいでしょう。
過去出題傾向の高い法令はしっかりと押さえ、それ以外の科目は一通りサッと目を通す程度にとどめた方が効率的です。
出題確率の低い法律は、問題を先に解いて、その法律が出てきた時にそこだけテキストで確認する、という勉強方法も良いでしょう。
労務管理と労働経済の動向については、専門用語をきちんと覚えることも大切。用語を理解していれば解ける問題も出題されます。余裕があれば日頃から時事問題に目を向けておくと、いざという時に身を助けることもあります。
なお、法改正部分は頻繁に使われるので、しっかりと学習しておきましょう。
出題傾向としては、直近の白書に掲載された内容が用いられることが特徴です。
また、雇用環境の変化や労働市場からの要請に対応する法改正が頻繁に行われることから、こうした改正部分も、試験対策上の重要なポイントとなります。
ここ数年労務管理用語からの出題はありませんでしたが、平成23年には賃金制度から出題されました。労務官用語や労働経済用語についても、基本事項は確実に押さえておきましょう。
「社会保険に関する一般常識(以下社会一般)」については、個別の社会保険諸法令のほかに、医療保険制度や年金制度の沿革、動向などが出題の対象となります。以前は厚生労働白書などからの出題が中心でしたが、近年は個別法からの出題がほとんどを占めています。内容も各法の特徴を問うものが多く、難易度は安定しています。労働一般は点数がとりにくいので、社会一般の法令だけで4点確保を目指しましょう。 学習方法としては、国民年金法、厚生年金保険法、健康保険法を含めた横断整理を意識しながら、各法令の基本事項をしっかりと押さえて下さい。我が国の社会保障や社会保険制度の沿革についても総合的にとらえ、最新の動向をチェックしておきましょう。
社会一般の択一式では、国民健康保険法や介護保険法、社会保険労務士法などの個別法からの出題がほとんどですし、細かな内容を問う出題も多くありません。問題によっては、各法の基本事項だけで高得点を上げることも可能です。過去問等で出題傾向を確認しながら、基本事項をしっかりマスターしましょう。他の科目とも横断的に比較しながら、各制度の特徴を掴むと良いでしょう。
選択式では、従来社会保障制度の沿革を問う出題が中心でしたが、近年は個別法からの出題が多くなっています。出題傾向としては、①直近の白書に掲載された内容が用いられること、②改正が検討されている法律が狙われやすいこと、が挙げられます。出題傾向の高い法律が改正されたら、必ず注意して見ておいてください。日頃から新聞などを通して、医療保険制度や年金制度の動向にも目を配っておくと良いでしょう。その年話題になったことが出題されることもあります。