仕事のやりがいと報酬、独立開業について

■ 仕事のやりがいについて

社労士は多様な士業の中でも、「人」にフォーカスした職業です。
「人の役にたてる」「社会貢献できる」ということが社労士としての喜びであり、多くの方がやりがいを感じるところでしょう。特に以下の3つがやりがいと感じる社労士が多いようです。

 

1.会社を守ること

未払い残業問題を抱えている等、法令を遵守していない会社があったとします。これがトラブルになり裁判にまで発展してしまえば、企業の社会的地位に傷がついたり、社員のモチベーションが下がってしまうことになりかねません。 これらのトラブルの火種を未然に消してしまうのが社労士としての重要な役割です。経営者や、不満を抱えている労働者から意見を聞き、会社の運営についてアドバイスすることで、両者にとってWin-Winの関係が築けるかどうかは、社労士としての腕の見せ所でしょう。
また、事業主に変わって国からの助成金を申請し、経営が悪化した企業が倒産やリストラを免れるという事例もあります。助成金の対象となるような企業でも、それについて知らなければ利用することはできません。社労士が事業主に代わって助成金を申請することで、企業はもちろん、失業を免れた労働者やその家族にまで喜ばれることがあります。

 

2.国民の生活を守ること

社労士は色々な方にアドバイスすることで、喜ばれることの多い職業です。法令違反の会社で苦しんでいる労働者がいれば、働きやすい環境を整備してもらえるよう経営者にアドバイスしたり、紛争解決のお手伝いをすることができます。
また、けがや病気、失業などで困っている方に、社会保険の仕組みや給付の受け方について説明してあげたり、年金がもらえないと諦めていた方に、合算対象期間などを計算して、受給資格がないかどうか判断することもできます。
こんなこと知らなかった、ありがとう」と感謝されると非常にやりがいを感じると思います。

 

3.社会に貢献できること

最近は法令を守らない企業を「ブラック企業」と定義し、批判する現象がよく見られます。よりよい社会を作るためにはコンプライアンスは欠かせません。会社を守ることで会社は法人税を納めることができ、国の税収がアップします。また、働きやすい会社を作り、国民の生活を守ることで失業者の減少に繋がり、貨幣の流通がよくなります。一つひとつの仕事は小さいものだとしても、巡り巡って、国の経済を良くする可能性だってあるのです。このように、人や企業、そして社会にも貢献できる社労士は、とてもやりがいのある仕事です。

 

■ 年収や報酬について

社労士の年収や報酬はどのくらいでしょうか?
社労士の資格は、他の士業と同じく、資格をとっただけで稼げるというものではありません。本人の経営手腕や営業力に年収のかなりの部分が左右されます。年収1000~2000万プレーヤーもいれば、開業したばかりで、収入がゼロという社労士もいます。勤務社労士の場合は、初任給が15~20万円くらいで安定しているようです。
このように個人差がかなりあるので、一概には言えませんが、開業社労士の仕事の内容と報酬の相場が分かれば、大体のイメージが掴めます。「どれくらいの仕事を受けたら、どれだけの年収になるか」という試算をしてみましょう。

 

スポット業務報酬

スポット業務とは、業務を一件ごとにお願いする、いわゆる「一見さん」からの依頼です。会社の立ち上げ時や、人事・労務に絡む法改正が行われた直後、各種の助成金を申請する際はこのスポット業務の依頼が多発するようです。
【報酬例】
「労働保険・社会保険の新規適用」5万円~15万円
「各種許可申請」 3万円~5万円
「就業規則の作成」 10万円~50万円
「各種諸届」 1万円~3万円
※ 金額に幅があるのは、会社の規模や業務完了へかかる時間が関係するためです。この値段は、もちろん社労士の先生が自由に決めることができます。

 

顧問契約報酬

スポット契約に対して、顧問契約というものがあります。たとえば、
「毎月の従業員の入社・退社に関する手続きと給与計算を含めて、月々3万円」という風にあらかじめ契約をしておくのです。携帯電話でいうところの「定額プラン」のようなものですね。顧問契約が結べると、毎月安定した収入が得られます。 【報酬例】
月の顧問契約 2万円~15万円
※会社の規模により金額は異なります。

その他報酬

その他、企業向けの労働相談の相談報酬、銀行の窓口での年金相談、セミナーなどでの講演、役所の調査への立会いなどがあります。
【報酬例】
・ 「相談報酬」 1時間3,000円~1万円
・ 「セミナーなどの講演」 1時間1万円~3万円
・ 「年金相談」、「立会い」 1時間3,000円~1万円
このように、相談に乗ってもらう場合であっても、基本的には報酬が必要です。

年収はどれくらい?

以上を踏まえて年収額を計算してみましょう。
・顧問契約を結んだ会社数→20社×月3万円×12ヶ月=720万円
・スポット業務→就業規則作成 20万円×6社=120万円、その他30万円
・その他→セミナー1万円×2時間×年4回=8万円、相談ほか12万円

この例だと、年収は890万円。なかなかの金額ですね。業務拡大路線でバリバリ働いている人は1千万円台も夢ではありません。もちろん、契約がとれなければ収入は限りなくゼロに近づいていくので、そこは本人次第です。
「そんなリスクはとれない!」という人は勤務社労士を選ぶというのも良いと思います。

 

■ 独立開業について

社労士は他の士業と比べても独立開業しやすい職業です。事務所を借りずに自宅の1室で開業することもできますし、必要な設備は電話やFAX、パソコンくらいのものですから、開業のための初期費用はぐっと抑えることができます。

ですから、社労士会で「開業登録」の手続きさえ行えばすぐにでも開業できるのです。登録にかかる費用は以下のとおりです。

1.登録免許税 30,000円
2.手数料 30,000円
3.社会保険労務士会への入会金、年会費

※入会金・年会費は社会保険労務士会ごとに異なりますので、社会保険労務士会へ直接お問い合わせ下さい。以下参考に東京都社会保険労務士会の会費を記載しておきます。

 

会費等 (東京都社会保険労務士会の場合)

  入会金 年会費
開業会員(法人社員含む) 50,000円 96,000円
勤務等会員 30,000円 42,000円
他県より異動入会 5,000円 同上(ただし入会月からの月割会費)

東京都で開業社労士の登録をすると、登録免許税+手数料+入会金で110,000円。それとは別に年会費が毎年96,000円かかるという計算ですね。

最初はこの登録料を払うのがけっこう大変で、事務所の経営が軌道にのるまでは、赤字になってしまうというケースが多いそうです。各種許可申請などのスポット契約の報酬が大体3万円前後なので、年間3件の契約がとれれば、年会費のモトはとれそうですね。

「いきなり独立開業するのが不安」という方は、まずはどこかに就職して人脈を形成したり、実務経験を積むというのが王道のパターンです。

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